税理士事務所のAI活用|資料回収の連絡・質問の回答下書き・月次の数字確認

月次の資料待ち、顧問先からの質問、確定申告期の山。担当者の時間はこの3つに吸い取られがちです。このページは事例ではなく、明日から試せる作業ごとの使い方と指示文です。税務の判断は税理士が行い、AI は下書きと確認の材料づくりを受け持ちます。

税理士事務所で時間を取られていること

  • 通帳のコピーや領収書が月初に届かず、顧問先ごとに催促の連絡を書いている
  • 「これは経費になりますか」という質問が担当者に集中し、回答の文面づくりに時間がかかる
  • 月次の試算表を見て、前月から大きく動いた科目や残高のおかしい科目を目で探している
  • 年末調整と確定申告の時期は、顧問先ごとの資料の揃い具合の把握だけで手一杯になる
  • 担当替えのたびに、顧問先ごとの記帳の癖や連絡のルールが引き継がれない

作業ごとの使い方と指示文

1. 顧問先からの資料回収の連絡文

使う機能:定期タスク
今のやり方
月初に、顧問先ごとに届いていない資料を確認し、相手に合わせて言い回しを変えた催促の文面を書いています。
AI を使うと
資料の受け取り状況を課題で管理しておくと、毎月決まった日に AI が未回収の一覧と、顧問先ごとの連絡文の下書きを作ります。送るのは担当者です。
指示文
毎月5日の朝に、顧問先ごとの「月次資料」の課題を見て、まだ届いていない資料を一覧にしてください。顧問先ごとに、何が足りないか、いつまでに欲しいか、送り方の案内を入れた丁寧な連絡文の下書きを作ってください。3か月続けて遅れている顧問先には印をつけてください。

2. 顧問先の質問への回答の下書き

使う機能:ワークフロー
今のやり方
チャットやメールで来た質問に、担当者が調べて文面を作り、税理士に確認してもらってから返しています。
AI を使うと
質問を渡すと、AI が質問の要点の整理と、確認が必要な事実の洗い出し、回答の下書きを作ります。下書きは税理士の承認の工程を通り、差し戻しもできます。税務の結論は税理士が決めます。
指示文
顧問先(サンプル商事)から次の質問が来ました。①質問の要点 ②回答の前に顧問先に確認すべき事実 ③税理士の確認用の回答の下書き、の3つを作ってください。下書きでは結論を断定せず、税理士が判断する箇所を【要判断】と書いてください。

3. freee の数字で月次のおかしな動きを探す

使う機能:freee 連携
今のやり方
試算表を前月や前年同月と並べ、急に増えた科目、マイナス残高、仮払金や未確定勘定の残りを目で追っています。
AI を使うと
freee 連携をつなぐと、AI が試算表の数字を読み取り、前月比・前年同月比で大きく動いた科目や、残高が気になる科目を一覧にします。仕訳の修正や税務上の扱いは担当者と税理士が判断します。
指示文
freee のサンプル商事の9月の試算表を読んで、前月と前年同月に比べて大きく動いた勘定科目を一覧にしてください。マイナス残高の科目、仮払金・仮受金・未確定の勘定に残高があるものも挙げてください。理由の推測はせず、顧問先に確認したい点として書いてください。

4. 繁忙期の資料チェックリスト

使う機能:Wiki
今のやり方
確定申告の時期に、顧問先ごとに必要な資料(医療費・寄附金・保険料の控除証明など)を毎年の Excel で確認しています。
AI を使うと
事務所の資料一覧を Wiki に置いておくと、AI が顧問先の事情に合わせたチェックリストの案を出し、担当者の質問にも Wiki を読んで答えます。その年の制度の変更点は税理士が確認します。
指示文
Wiki の「確定申告 依頼者向け資料一覧」を読んで、山田(サンプル)様向けのチェックリストの案を作ってください。事情は、給与所得あり・不動産の貸付あり・今年ふるさと納税をした、です。Wiki に無い資料は追加せず「要確認」に挙げてください。

5. 顧問先ごとの記帳ルールを引き継ぐ

使う機能:引き継ぎエージェント
今のやり方
「この会社は交通費を現金で立て替える」「この取引先は前受金にする」といった癖が、前任者のメモや記憶に頼っています。
AI を使うと
引き継ぎエージェントが前任者に顧問先ごとに質問し、記帳と連絡のルールを手順書の案にまとめます。過去のメモ(Excel・Word)も読ませられます。人が確認してから Wiki に載せます。
指示文
担当している顧問先の引き継ぎ資料を作りたいです。私に顧問先ごとに質問して、資料の受け取り方法と締め、よく出る取引と使っている勘定科目、例外的な処理、連絡の窓口と好む連絡手段、決算や申告の時期を聞き取ってください。顧問先ごとに Wiki の案にまとめてください。

6. 月次面談のメモから宿題を拾う

使う機能:議事録からタスク化
今のやり方
巡回監査や月次面談で出た宿題が、面談メモの中に埋もれて次回まで動かないことがあります。
AI を使うと
面談の議事録を取り込むと、AI が事務所側と顧問先側の宿題を分けてタスクにし、担当と期限を提案します。
指示文
この月次面談の議事録から、事務所側がやることと顧問先にお願いしたことを分けてタスクにしてください。担当と期限は議事録にあればそれを使い、無いものは「要確認」にしてください。

始め方

  1. 1 まず顧問先を1社選び、freee 連携をつないで月次の動きの一覧を作ってみます
  2. 2 顧問先ごとに「月次資料」の課題を作り、受け取り状況を記録し始めます
  3. 3 資料が届いていない顧問先への連絡文の下書きを、毎月の定期タスクにします
  4. 4 質問への回答は、下書き→税理士の承認の順のワークフローにしてから使い始めます
  5. 5 繁忙期の前に、依頼者向けの資料一覧を Wiki に整えます

AI に任せないこと・人が確かめること

  • AI の出力は下書きです。税務上の取り扱い、申告の内容、顧問先への回答の最終判断は必ず税理士が行います
  • 税法や通達、その年の改正点を AI の答えで確定させないでください。原典で確認します
  • freee 連携は数字を読み取って確認に使うもので、仕訳の登録や修正は人が行います
  • 顧問先の財務情報やマイナンバーなどの個人情報は、必要な範囲だけを扱い、マイナンバーは入力しないでください。顧問先ごとに見られるメンバーを絞ります
  • 連絡文は担当者が内容を確かめてから送ります。期限や金額の書き間違いに注意します

AIチャット・ワークフロー・定期タスク・Wiki はフリープランから使えます(フリープランは 1 名まで、初期クレジット 500)。ミニアプリとブラウザエージェントはベーシックプラン(月額 20,000 円・税込)以上です。

よくある質問

freee 以外の会計ソフトを使っている顧問先はどうなりますか?

連携できるのは freee です。ほかの会計ソフトは、試算表などを Excel や CSV で書き出して AI チャットに渡せば、同じように動きの確認に使えます。

AI が仕訳を自動で登録してくれますか?

しません。freee 連携は数字を読み取って集計や確認に使うためのものです。登録や修正は担当者が行ってください。

顧問先からの質問に AI がそのまま答えてもよいですか?

おすすめしません。AI の回答は下書きとして、税理士が確認してから返す流れにしてください。ワークフローで承認の工程を入れると、確認漏れを防げます。

料金プランはどれが必要ですか?

AIチャット・ワークフロー・定期タスク・Wiki はフリープランから使えます。フリープランは 1 名まで、初期クレジット 500(月ごとの配布はなし)です。ミニアプリとブラウザエージェントはベーシックプラン(月額 20,000 円・税込)以上です。