法務のAI活用|契約書の一次確認・法務相談の受付・期限管理の使い方と指示文

契約書案をひな形と1条ずつ見比べる、相談の背景を聞き直す、自動更新の期限を追う。法務で時間がかかるこうした作業ごとに、AIの使い方と貼って使える指示文をまとめました。条項の有効性や法令の解釈など、法的な判断は人と専門家が行います。

法務で時間を取られていること

  • 相手方から届いた契約書案を、自社のひな形と1条ずつ見比べて違いを探す作業に時間がかかる
  • 事業部からの相談が、チャット・メール・立ち話とばらばらに来て、背景や期限が分からないまま受けている
  • 秘密保持契約や業務委託契約が増え、自動更新の期限や解約の申し入れ期限の管理が追いつかない
  • 「この内容で NDA は要る?」「契約書の押印の流れは?」など、社内ルールで答えられる質問が多い
  • 過去にどんな修正で合意したかが担当者の記憶頼みで、同じ相手との交渉で一貫しない

作業ごとの使い方と指示文

1. 相手方の契約書案と自社ひな形の差分整理

使う機能:AIチャット
今のやり方
契約書案とひな形を2画面に並べ、条文の順番の違いや細かい言い回しの変更を、1条ずつ読み比べて書き出しています。
AI を使うと
Wiki に置いた自社ひな形と社内の審査基準をもとに、AI が相手方の案との違いを条項ごとに表にし、「審査基準で確認が要る」とされている論点(損害賠償の上限、知的財産の帰属、解除事由など)に印を付けます。修正するかどうかの判断と修正文案の確定は法務担当が行います。
指示文
Wiki の「業務委託契約ひな形」と「契約審査の確認ポイント」をもとに、次の相手方の契約書案との違いを条項ごとに表にしてください。列は、条項、ひな形の内容、相手方案の内容、違いの要点、確認ポイントに該当するか、です。条項が有利か不利か、有効かどうかの判断は書かないでください。
相手方の案:

2. 事業部からの法務相談の受付と回付

使う機能:ワークフロー
今のやり方
相談が来るたびに、取引の背景、相手方、金額、希望の期限を聞き直し、担当を決めて、進み具合を個人のメモで管理しています。
AI を使うと
「相談内容の整理(AI)→ 法務担当の受付・優先度の判断 → 回答 → 必要に応じて上長・外部弁護士への確認」をワークフローにします。AI が相談文から足りない情報を指摘し、論点を整理して法務に渡します。承認の工程で差し戻せます。
指示文
次の法務相談の内容を整理してください。①取引の概要(相手方、内容、金額、期間) ②相談したいこと ③希望の回答期限 ④相談文から読み取れず、相談者に確認すべき情報。法的な結論は書かず、法務担当が判断するための材料として整理してください。
相談内容:

3. 契約の更新・解約申し入れ期限の管理

使う機能:定期タスク
今のやり方
契約管理の Excel を月に一度見直していますが、入力漏れや見落としがあり、自動更新に気づくのが遅れることがあります。
AI を使うと
契約管理台帳を Wiki に置き、毎月の決まった日に AI が期限の近い契約を拾い出します。担当部署と、前回の更新で何を変えたかもまとめて出すので、更新・見直しの相談を早めに始められます。
指示文
毎月第1営業日に、Wiki の「契約管理台帳」を読み、今日から90日以内に契約期間の満了日、または解約申し入れ期限が来る契約を一覧にしてください。項目は、契約名、相手方、契約の種類、満了日、解約申し入れ期限、自動更新の有無、担当部署です。台帳に期限が書いていない契約は別の表にしてください。

4. 社内ルール(契約・押印・NDA)の問い合わせ対応

使う機能:Wiki
今のやり方
「この取引に契約書は要るか」「押印申請はどこから出すか」「NDA はどのひな形を使うか」といった質問に、毎回個別に答えています。
AI を使うと
契約締結の社内ルール、押印・電子契約の手順、ひな形の使い分けを Wiki にまとめると、AI が根拠のページを示して答えます。ルールに書いていない判断が要る質問は、法務への相談として受け付けます。
指示文
Wiki の「契約締結の社内ルール」と「ひな形一覧」だけを根拠に、次の質問に答えてください。根拠のページ名を書いてください。ルールに書いていないことや、法的な判断が要ることは推測せず、「法務への相談として受け付けます」と答えてください。
質問:

5. 交渉の経緯と合意内容のナレッジ化

使う機能:引き継ぎエージェント
今のやり方
相手方とどの条項をどう修正して合意したかは、メールのやり取りや担当者の記憶にしか残っていません。
AI を使うと
引き継ぎエージェントが担当者に質問し、主要な取引先ごとの合意の経緯、譲れる点・譲れない点、過去の修正例を聞き取って、Wiki のナレッジ案にまとめます。過去の契約書の Word や PDF も読ませられます。人が確認・承認してから公開します。
指示文
主要な取引先との契約交渉の経緯を、ナレッジとして残したいです。取引先ごとに順番に質問して、過去に修正で合意した条項、相手方がよく求める修正、社内で譲れないとしている点、相談した外部の専門家を聞き取ってください。最後に Wiki のページの案にまとめてください。

6. 法令やガイドラインの公表ページの確認

使う機能:ブラウザエージェント(ベーシック以上)
今のやり方
関係する官公庁のサイトを定期的に見に行き、新しい公表やパブリックコメントがないかを確認しています。見忘れることがあります。
AI を使うと
ブラウザエージェントが指定したページを開き、新着情報の一覧から前回以降に追加されたものを拾って要約します。自社への影響の検討は法務担当が行い、必要に応じて専門家に相談します。
指示文
指定した官公庁のお知らせ・報道発表のページを開いて、今月追加された項目を一覧にしてください。項目ごとに、公表日、タイトル、ページの URL、内容の要約を3行以内で書いてください。自社への影響の評価はしないでください。

始め方

  1. 1 AI に渡してよい契約書・相談の範囲を決める(取引先の機密、個人情報、係争中の案件の扱いなど)
  2. 2 自社のひな形と、契約審査で必ず見るポイントを Wiki に置く
  3. 3 まずは締結済みの契約書で、ひな形との差分整理を試し、漏れや読み違いがないか確かめる
  4. 4 契約管理台帳を Wiki に作り、定期タスクで期限の近い契約を拾う
  5. 5 事業部からの相談の受付をワークフローにして、必要な情報がそろってから受ける形にする

AI に任せないこと・人が確かめること

  • 条項の有効性、リスクの評価、法令の解釈など法的な判断は AI に任せません。法務担当が判断し、必要に応じて弁護士など専門家に確認してください
  • AI の差分整理や要約は見落としや読み違いがあり得ます。重要な条項は原文で必ず確認してください
  • 取引先の機密情報、契約書に含まれる個人情報、係争・紛争に関わる情報は、AI に渡すかどうかと、見られる人の範囲を事前に決めてください
  • 相手方に返す修正案や社内への回答は、法務担当が内容を確認してから出します
  • 法令の改正情報は、公表元の原文で確認してから社内に展開してください

AIチャット・ワークフロー・定期タスク・Wiki はフリープランから使えます(フリープランは 1 名まで、初期クレジット 500)。ミニアプリとブラウザエージェントはベーシックプラン(月額 20,000 円・税込)以上です。

よくある質問

AI に契約書のリーガルチェックを任せられますか?

任せる使い方はおすすめしません。このページで紹介しているのは、ひな形との差分の洗い出しや論点の整理など、法務担当が判断する前の準備です。判断と最終確認は法務担当と専門家が行ってください。

契約書を AI に読ませても情報は大丈夫ですか?

社内の情報管理のルールに沿って、AI に渡す範囲を決めてから使ってください。まずは自社のひな形や締結済みの一般的な契約から試し、機密性の高いものは扱いを決めてから広げるのがおすすめです。

法務が1人の会社でも使えますか?

使えます。1人法務では、相談の受付と期限の管理に追われがちです。受付をワークフローに、期限の確認を定期タスクにすると、判断が要る仕事に時間を使いやすくなります。

料金プランはどれが必要ですか?

AIチャット・ワークフロー・定期タスク・Wiki はフリープランから使えます。フリープランは 1 名まで、初期クレジット 500(月ごとの配布はなし)です。ミニアプリとブラウザエージェントはベーシックプラン(月額 20,000 円・税込)以上です。